南西フランスで生きる

元モンテッソーリ幼稚園教諭が綴る、フランスの教育事情、南西フランス生活、フランスの妊活事情など、ゆるりと更新

フランスでの妊活

お久しぶりです。

だいぶ間が開きましたね。一年がものすごくあっという間な気がします。

4月ということもありまたブログを書いてみようかなと思い立ちました。

 

今回はフランスでの妊活、妊活中の気持ちを書いてみたいなと思います。

妊活中の方は『そうそう!』と共感して心が軽くなってもらえたら嬉しいです。

そうでない方は妊活ってそうなんだぁと知ってもらえたら嬉しいです。

 

妊活中って、病院に行くことから始まり、ストレスは厳禁となるべくゆったりと過ごしたり、食べるものに気を使ってみたり、運動をしてみたり、サプリを飲んでみたり、神仏頼みとしょうして神社仏閣にお参りしてみたり、といろいろ試してはいる方も多いと思います。

周りの“ご報告”に落ち込んだり、自分のことを情けなく思ったり、妊娠してもすんなりいかず赤ちゃんがお空に帰ってしまったり、今まで知らなかった自分の黒い部分を知ってしまったり…。

そんな妊活しているからこそ知ってしまうたくさんの負の感情、すごーくあるんです‼

できることならそんな負の感情なんて持ちたくない‼でも避けられない事情でぶわーってで出てきてしまうんですよ。

 

よく“ご報告”で見る言葉『私(たち)を選んできてくれました』

この言葉、とても美しい言葉だと思いますが私は苦手です。

来てくれない私たちは選ばれてないってこと?

きっと苦労せず妊娠・出産したんだろうなぁってどうしても思っちゃうんです。

(こう書くと不妊様って言われそうですが。)

素敵な言葉だから、きっと不妊治療してなかったら使いたくなる言い回しだと思います。

でもそういった言葉さえも斜めに構えさせちゃうのが不妊治療の悪いところでもあると思います。比べなきゃいいじゃん、変に言葉の上げ足とらなくてもいいじゃん、そんなこと思うから妊娠できないんだよって思われるかもしれませんが、自分ではコントロールできないことと向き合ってるそのもどかしさも相まってると思うんです。

妊活をしてからこんなにも性格悪かったのかぁと思うことが増えました。ご報告なんてなくなればいい、身内だけでいいじゃんとも思ったこともあります、正直。

 

妊活をすると、体力的にいえば、治療のための自己注射もありますし、血液検査のため注射はほぼ2日に一回、人によっては通水検査や流産手術など“痛い”ことが、日常生活の中で圧倒的に増えますし、体力だけでなく、精神的にも追い詰められちゃうことを知ってもらいたいのです。ヨガや瞑想、カウンセリングとあるにはあるのですが、どう心を健康的に保つのかは結構難しいので、体力的な部分よりむしろ精神面の方がきつかったりします。

 

私は妊活歴今年で4年目で、本当にいろいろしました。

妊活をしている方の中には4年なんてまだまだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この4年が人生で一番濃い時間な気がしてます。

『早くわが子をこの腕で抱きたい。』この気持ちはきっと妊活をしている皆さんは一緒だと思います。

ですが、子どもは授かりもの、こればっかりは自分の力だけではどうしようもないところもあります。いくら頑張っても結果に結びつかないことなんてあるのかぁと自分で経験して思います。

それでも、フランスでは、体外受精も4回まで保険でカバーなので実質無料であったり、女性同士のカップルも不妊治療が受けられたりと、行政のしっかりとしたサポートがあります。それは本当に恵まれているなと思います。

 

サポートを受けるまでに、まず1年間自分たちで妊活を頑張るのは日本と変わらないかもしれません。

ただ無料なのが理由かもしれませんが、日本の検査はしたことないので耳にしたり目にしたりする限りですが、フランスよりも日本の方が検査項目などがもっと充実している印象です。

 

フランスの医療事情として、まずMédecin généralisteと呼ばれるかかりつけのお医者様がいなければなりません。コロナ以降まず主治医を見つけるのがまず難しい。新規の患者をとっていないお医者様が多くて引っ越しても引っ越し前のお医者様が同じままということも多々あります。

その主治医に予約を取って、産婦人科の先生への紹介状を書いてもらう。そして産婦人科の先生に予約。これもまぁ長いこと…。一か月、三か月先なんてこともざらです。その産婦人科の先生にも紹介状をもらってやっと不妊治療に進めるといった感じです。

(私の場合は、妊活を始めた当初のかかりつけのお医者様が産婦人科も診ていたので、この過程はスキップできました。)

ここでやっと、先生を通して、社会保健に100%不妊治療に関しての病院代であったり薬代だったりが保証されるように申請します。申請した後は受理されれば手紙が届くので、それを近くの薬屋さんに持っていき健康保険カードに情報を入れます。

そして公立の病院であればここから、また不妊治療を担当してくださる先生と面談、その後病院内で会議にかけられ認証されたら、保険も受理されたところでまた面談で、その後2か月生理を見送ったのち治療開始という流れでした。

いくつものステップを踏んでやっと治療を始められるといった感じです。

無料ですが長い。このステップは人によっていろいろと変わると思いますが、不妊治療が始まるというところまでいろいろあって私は3年かかりました。

 

フランスでの妊活、費用があまりかからないという素晴らしい点がありますが、ほかにも良い点がいくつかあります。

まずは治療中は夫婦でのカウンセリングも必須ではないですが受けられます

私たちは受けてから、精神的にゆとりができたので良かったと思っています。

精神科医の先生に、アドバイスを頂いたり、『うんうん、そうだよね、あなただけではないから大丈夫』と言っていただけたのが妊活をする中で何よりも助かっているように思います。

また、治療に関しての通院はすべて夫婦で来ることが必須で、会社もこれを理由に欠席または遅刻は必ず了解しなくてはならないという法律もあります。もちろん病院側もそのための証明書を必ず毎回発行してくれます。

一緒に行くことでなによりも夫婦で妊活をしていると実感できます。通院や検査を一人ですると思うと、やはり心細かったり、夫婦のことなんじゃないの?って感じると思うんです。もちろん日本でも夫婦そろって通院されている方もいらっしゃると思います。けれど、そこを法的にも守ってしっかりしているのはフランス素晴らしいな、ありがたいなと思います。これはぜひ日本でもするべきなのではと妊活当事者として思います。

 

私は妊活を初めて8か月ほどで2度妊娠したのですが、一度目は化学流産と呼ばれる胎胞が見える前の流産、二度目は8週で心拍停止の繋留流産を経験しました。

化学流産は妊娠検査薬が普及し自己検査をすることができるようになったので多く認知されるようになった流産のようです。妊活してなくて検査薬もしていなければきっと気が付かなかったものではないかなぁと今になっては思います。

二度目の流産は正直とても苦しかったです。流産手術後、相次いで“ご報告”が届いたり、その当時の同僚の妊娠が分かってどんどん彼女のお腹が大きくなったりエコー写真をグループチャットで見せられたりしたのが正直一番心がぎゅっとなりました。

今やっと、こうやって文章に書き起こしてもやっと涙が出なくなりました。

人生の数だけ、妊活の数だけそれぞれのストーリーがあると思うんです。

流産のことは書かなくてもよかったかもしれませんが、こんな人もいて、頑張ってるんだ、じゃあ私も頑張ろうって思ってもらえたら嬉しいなと思うんです。

 

あと、私は妊活を始めてから、まだまだ完璧ではありませんが、他人の立場をもっと考えて接することができるようになった気がします。もしかしたら、見た目にはわからないけれどこの人も苦しんでいることがあるかもしれないと。

妊活に限りませんが、苦しいことを乗り越えてきたからこそ、今があります

それが過去か現在か未来か、どこでかはわかりませんが、きっと誰にも『わーもうだめだ』『最悪』『終わった』っていう時ってあると思うんです。

その経験があるからこそ、今を大切に生きていこうって、大丈夫すべてを乗り越えて今があるんだからって思えるようになりました。

 

子どもを望む人すべてに赤ちゃんが来ますように

岡崎神社、京都